私が講師の仕事を始めたばかりの頃、ある高校の先生に言われたことがあります。
「生徒にはいくつもの顔があります。学校の顔。家庭の顔。塾の顔。それぞれに違うんです」なんでこんな話になったのかはさておき、これは親御さんにとっても興味深い話ではないでしょうか？実際のところお子さんによるのですが、程度問題であれこれは確かに真実だと思います。もちろん意図的に使い分けているのではなく、それぞれの集団で必要な振る舞い方に自然となっている場合がほとんどです。つまり親御さんは、自分の子供の一面しか知らないのです。
　ところで、当塾で受験をした生徒の多くがその後も通塾を続けてくれます。今のご時世、お子さんが「行きたい」と言わなければ続けることはないでしょうから、多くのお子さんが教室を気に入ってくれていると考えて良いでしょう。「教室」とは場所でなく、わたしや他の講師を気に入ってくれたと解釈しています。
　塾の講師は、もしかしたらお子さんが人生で最初に出会う、親と学校の先生以外の大人です。それも友達以上、先生以下の、ちょっと気易い、それでいて少しは尊敬できる存在です。誰にも言わないことを私にだけは話してくれる、そんな存在でいられるように努力しています。そうであるため、私は生徒になめられるようにしています。（他の講師は別です）生徒が同じ目線で私を見ることができるように意識しているからです。それでも、知識、経験などの面で、放っておけば生徒はちゃんと尊敬を払ってくれます。「やっぱ先生が好きだと～、勉強も楽しくなるじゃないですかあ～」（ちょっと現代風に）